マンションを探していると、「アルコーブ」という言葉を広告や間取り図で見かけることがあるでしょう。
実はアルコーブは、本来の意味とマンションでよく使われる意味が少し違い、混乱の元となっています。
マンションでのアルコーブとは何のことなのか、その概要と、メリットとデメリットまで詳しくご説明します。
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まずは言葉の意味と概要をお伝えします。
アルコーブ本来の意味
アルコーブとは元々ヨーロッパで一般的に使われていた建築技法です。
廊下や部屋内の一部の壁をへこませて作られた、小さい空間のことを指します。
和室にある床の間も建築技法で言うとアルコーブの一種、と考えるとイメージがしやすいでしょう。
フランスではその空間を、お客さんをもてなす一室として使ったり、ベッドを置いたり、書斎にしたりと多様な用途にしています。
床の間は身分の高い人が過ごす場所として始まった歴史があるので、使用用途や背景はアルコーブとはちょっと違いますね。
室内に作られたアルコーブは、このアルコーブ本来の意味で使われています。
マンションのアルコーブ
よくマンションで言われるものは、少し意味が変わってきます。
マンションの共有廊下を一部くぼませて小さな空間を作った、共有廊下から玄関扉までの間の空間のことをアルコーブと呼びます。
その広さは物件によってさまざまですが、1㎡ほどの作りのものが一般的です。
部屋の前にある空間ではありますが、持ち主が好きに使って良い場所ではなく、マンションの共有部分とされていることがほとんどです。
なお、あまり多くはないですが、マンションの室内にアルコーブの空間が作られていることもあります。
アルコーブと玄関ポーチの違い
玄関前に作られる空間という点では、似たようなものに玄関ポーチがあります。
玄関ポーチはもともと一戸建てに作られるもので、玄関の前に庇(ひさし)を作って、雨に濡れず直射日光にも当たらないようにしている場所のことを言います。
マンションでも玄関ポーチという言葉は使いますが、マンションの場合は庇(ひさし)があるかどうかではなく、門扉があるかどうかがポイントとなります。
アルコーブは小さな空間ですが、玄関ポーチのほうが大きく作られています。
一般的に、角部屋に玄関ポーチが設置され、それ以外の部屋にアルコーブが設置されることが多いようです。
アルコーブとサービスバルコニーの違い
間取り図を見ていると、サービスバルコニーも同じように見えて混乱することがありますが、これはまったくの別物です。
サービスバルコニーは窓の外にあり、たいていはエアコンの室外機やプランターを置ける程度の小さい面積のバルコニーのことを指します。
アルコーブのあるマンションのメリットとは
ここではマンションにアルコーブがあることで得られるメリットをご紹介します。
プライバシーが守られる
共有廊下から小さな空間があって部屋の玄関扉があるので、離れたところからだと壁にさえぎられて玄関への出入りが見えにくくなります。
また、通常は玄関扉を開けると部屋の中が丸見えになってしまいますが、その空間とそれを作る壁のおかげで、遠くから部屋の中が見えてしまう心配は少ないでしょう。
閉ざされた空間ではない、適度な目隠しとしてアルコーブは有効です。
共有廊下の通行を妨げない
通常の共有廊下だと、扉を開けたところに通行人にいたら、ぶつかってしまうことがあります。
そうすると怪我の危険もありますし、隣人間のトラブルにも発展しかねません。
アルコーブがあれば扉を開けても独立した空間の中なので、廊下を歩く通行人に当たってしまうことはありません。
また、お客さんや宅配業者が来たとき、玄関の扉を開けながら対応することもよくあります。
狭い共有廊下しかないと、玄関扉を開けていたら後ろに人は通れなくなりますが、アルコーブがあれば扉を開けて対応しながらでも通行の邪魔にはなりません。
玄関の扉を開けるときに毎回通行人の有無を確認する必要もなく、ストレスなく玄関の出入りができますよ。
安全性が高まる
先ほどお伝えしたとおり、アルコーブがあれば部屋への出入りや部屋の中が見えにくくなります。
これは不審者も部屋の様子を見にくいので、安全性が高まります。
また、玄関の様子が見えないことで、鍵の開け閉めの様子なども外からは見えにくいという利点もあります。
高級感が出る
アルコーブのある部屋と共有廊下だけの部屋を見比べると、アルコーブのある部屋のほうがより良く見えるでしょう。
アルコーブがあることで空間に余裕ができて、高級感を感じることができます。
外から見たときにもゆとりある空間でスッキリして見えるので、おしゃれな雰囲気になるのもメリットです。
室内にあればインテリアの幅が広がる
共有廊下部分にあるアルコーブでは制約があり難しいのですが、もし室内にその空間があるなら、さまざまな用途に使えるでしょう。
小さなスペースなら飾りを置いても良いですし、大きめのスペースであればベッドやソファを置いてくつろぎの空間にするのも良いですね。
アイディアと工夫次第でお好みの空間として使うことができます。
アルコーブのあるマンションのデメリットとは
マンションのアルコーブにデメリットらしいデメリットはない、というのが正直なところです。
ただ、少し注意しておきたいポイントがあるので、ご説明します。
個人の使用に制限がある
マンションのアルコーブは、個人所有ではなく共有部分という規約になっています。
そのため、空いている場所があるからと、自分の部屋と同じように好きなものを置くわけにはいきません。
それに対して門扉のある玄関ポーチは同じ共有部分でも規約が違い、専用使用権が認められていることが多いです。
専用使用権があれば、共有部分であっても個人が好きに使用できるので、自転車やアウトドアグッズ、植物など、自分の好きなものを置くこともできます。
アルコーブで専用使用権が認められているケースは少ないですが、なにか利用したい目的がある場合は規約を確認してみましょう。
私物を置ける場合でも、災害時の避難経路は確保できているか、防災上の心配はないかには注意が必要です。
めちゃくちゃに物を置いてしまうと、管理会社や消防署から警告を受けるかもしれませんし、外から見える部分なのでマンションの資産価値も落としかねません。
建築費が高くなる
アルコーブを作るためには余分な面積が必要となりますし、建築も複雑になり、費用が高くなります。
建築費用は売買価格に影響することが多いので、同じ条件でアルコーブのあるマンションとないマンションでは、あるマンションのほうが高値で取引されがちです。
逆に言えば、資産価値が高まるという見方もできます。
室内では物置になりかねない
室内にアルコーブがある場合、うまく使わないと物置になってしまうことがよくあります。
室内のアルコーブは大抵の場合あまり大きな空間ではなく、捉え方によっては中途半端な場所とも言えます。
どう使って良いかわからず、とりあえず手近なものを入れておく、という使い方をする方も多いです。
上手に使えばおしゃれな空間になりますので、事前にどんなインテリアにするかの計画をしっかりと立てておくと良いでしょう。
まとめ
マンションにあるアルコーブとはなにか、概要からメリットとデメリットまで解説いたしました。
共有廊下にゆとりある空間が設けられたアルコーブがあれば、よりクオリティの高い暮らしができるでしょう。
新しい生活にご検討されてみてはいかがでしょうか。
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